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2024.10.15トピックス
【所蔵楽器のご案内】フォルテピアノ

フォルテピアノは18世紀に誕生した弦を打って音を鳴らす鍵盤楽器で、現代のピアノの前身となる楽器です。
住友生命いずみホール所蔵のフォルテピアノは、ピアノ製作家ナネッテ・シュトライヒャーが1820年代に製作したものと言われております。1990年のいずみホール開館と同時にホールにやって来ました。
1820年代はシューベルトやベートーヴェンの生きた時代です。特にその時期に作曲された作品を演奏すると、当時の人々が聴いていた音色を今の時代に体感することができます。
ナネッテ・シュトライヒャーは、モーツァルトが親しくしていたアウグスブルクのピアノ製作家シュタインの娘で、若いころからフォルテピアノの製作にたずさわり、ウィーン式フォルテピアノの頂点を築きました。
ナネッテ自身も優れたピアノ奏者であり、8歳のときにモーツァルトの前で演奏しました。ベートーヴェンの援助をし、彼の助言を受けながら楽器の改良につとめたとも伝えられています。
当ホールのフォルテピアノは73鍵、音域は6オクターブです。鹿革のハンマー、鉄線弦が使用されています。5つのペダルが備わっていて、それぞれが音色に変化を与える役割を持っています。
現代のグランドピアノにも備わっている「シフト(ソフトペダル)」、「ダンパー」のほかに、現代のものとは異なる3つのペダル「ファゴット」と2種類の「モデラート」が備わっています。
「ファゴット」ペダルは低音部のみに作用し、ファゴットのような音色を生み出します。
「モデラート」はハンマー機構に作用し、音色を柔らかくするもので、その度合いによって二つのペダルを使い分けるそうです。
音色は柔らかであたたかみがあり、ピッチも少し低めで設定されております。ソロ演奏はもちろんのこと、ガット弦(羊の腸の筋を使用した弦)のヴァイオリンなどとの室内楽にも適しています。