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住友生命いずみホールが
所蔵する楽器をご紹介
明るくやわらかな音色が特長の、フランス・ケーニヒ社製のパイプオルガン、ベートーヴェンと
同時代の1820年代のナネッテ・シュトライヒャー製フォルテピアノなど、
他のホールでは味わうことのできない特色ある楽器を備えています。
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パイプオルガン
明るくやわらかな音色が特長の、
フランス・ケーニヒ社製のパイプオルガンです。ストップ(ノブ):46/手鍵盤:4段
コンビネーション操作ボタン他
エクスプレッションペダル
足鍵盤:1段/高さ:10m/幅:8.6m
パイプ数:3623本 -
チェンバロ
典雅な響きが特徴のアトリエ・フォン・ナーゲル社製(フランス)のフレンチダブルマニュアルです。
二段鍵盤/61鍵
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フォルテピアノ
住友生命いずみホール所有のフォルテピアノ(古典ピアノ)は、世界的権威が絶賛した名器で、ベートーヴェンと同時代(1820年代)の製作家ナネッテ・シュトライヒャーの作ったオリジナルです。
鍵盤:73鍵
音域:F1-f4、6オクターブ
ペダル:シフト/バスーン/モデラート1/ダンパー/モデラート2
長さ:2m30cm/横幅:1m26cm/高さ:89cm -
ピアノ
スタインウェイ(ドイツ)
フルコンサートD-274型(2台保有) -
ピアノ
ベーゼンドルファー(オーストリア)
「インペリアル」コンサート用グランド290型 -
ピアノ
ヤマハ(日本)
フルコンサートCFIIIS型
オルガンは、その大きさ、造形美、荘厳な響きから「楽器の王様」とも「女王様」とも言われています。異なった形、材質でできたパイプがあり、その長さは8ミリから5メートルにまで及びます。それらに風を送って、音を鳴らします。幅広い音域と様々な音色が生まれるのは、こうしたバラエティに富んだパイプがあるからです。
住友生命いずみホールのオルガンには手鍵盤が4段、足鍵盤が1段あります。それぞれの鍵盤にあわせて、3623本もの専用パイプがオルガン本体の中に組まれています。専用のパイプは音色別に分れており、46種類の「ストップ(音栓)」と呼ばれるノブで操作します。また複数の鍵盤があるので、両手を別々に使って違った音色で弾くこともできますし、1つの鍵盤から違う鍵盤に移って、即座に音色を変えることもできるのです。足鍵盤は主に低音に使われます。
第3鍵盤は、よろい戸の付いた箱に入っていて、それを開閉することにより音に強弱がつけられます。また、ストップの組み合わせをメモリーに記憶させておいて、演奏中にコンビネーション操作ボタンで自在に変えることもできます。 オルガンは、たった一人で操ることのできるオーケストラと言えるでしょう。オルガニストの役目は、この複雑な楽器を操って、表情豊かな音楽を皆さまにお届けすることなのです。
チェンバロは、15世紀はじめに誕生したといわれる、バロック時代を代表する鍵盤楽器です。
ベートーヴェンが作曲した初期のピアノ・ソナタは「チェンバロまたはピアノ用」とされていましたが、中期以降は「ピアノ用」という指定に変わっています。つまり、19世紀初頭から次第に“忘れられた楽器"となってしまいます。19世紀末から復元が試みられ、20世紀後半からは、古楽器のブームもあり、復活しました。外見がグランドピアノに似ているせいか、ピアノの祖先のように思われがちですが、音の出し方が全く異なります。ピアノは弦をハンマーでたたいて発音するのに対し、チェンバロは皮や羽毛の軸の小片が弦をはじいて音を出します。発音原理が異なるのでもちろん音色も味わいも違います。
また、チェンバロは、響板に美しい絵が描かれたものが多く、18世紀のフランスのものなどは、装飾的な家具としての役割も果たしていました。外側は漆塗りで、猫脚が付けられ、時には鍵盤にまで金箔が張られたものもありました。
住友生命いずみホールのフォルテピアノは、ウィーン国立博物館のアルフォンス・ヒューバー氏により、1820年代のものと判断されました。したがって、ベートーヴェンやシューベルトのピアノ曲の演奏には最適のものといえます。
ナネッテ・シュトライヒャーはモーツァルトが親しくしていたアウグスブルクの製作家シュタインの娘で、若いころからフォルテピアノの製作にたずさわり、ウィーン式フォルテピアノの頂点を築きました。自らも優れたピアノ奏者であり、8歳のときにモーツァルトの前で演奏しました。またベートーヴェンの援助をし、彼の助言を受けながら楽器の改良につとめたとも伝えられています。
フォルテピアノは、別名ハンマーフリューゲルと呼ばれ、巨大化した今日のピアノに比べ手作りの繊細な美しさを持っており、古典派音楽の心と魅力を伝えるには現代のピアノ以上にふさわしいことが、近年では広く認められています。